Smiley face

 雪が降るから、だったのかもしれません。

 北海道帯広市で生まれた僕は、サッカーが大好きな子供でした。家の近所に公園があって、放課後になると友達と直行して、毎日ボールを蹴って遊んでいました。健全な子ですよね(笑)。

 でも、やっぱり冬は雪が降って積もってしまうので公園では遊べなくなります。だから、家でやれることを探すしかない。で、たまたま父が囲碁を打っていたので、自然と興味を持つようになりました。小学3年の時です。後でプロを目指す子供としてはちょっと遅いスタートかなと思いますけど、のめり込んで、最初からすごく楽しかったんです。趣味に近い感覚で、週に1、2回やるくらい。プロを目指すなんて、全然ピンとこないことでした。

 もし、雪が降らない地域で暮らしていたら、冬でも公園でサッカーをして遊んでいたと思います。だから、囲碁を始めることはなかったのかもしれません。

写真・図版
富士田明彦七段=2024年8月27日午後3時42分、相模原市の「杜のホールはしもと」、北野新太撮影

 転機は中学1年の時でした。一緒に遊んでいた友達とみんなサッカー部に入って、ある時、札幌遠征でコンサドーレ札幌のユースチームと試合することになったんです。ウチは普通の中学校なのに。そしたら、何分かごとにゴールされてしまうような試合になってしまって。少なくとも自分が進むべき道じゃないな、と思って、サッカーをやめて囲碁を続けることにしました。

 突然、放課後を一緒に過ごす…

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